脳卒中リハビリと脳波



デルタレゾナンスで工夫した点を1例示します。



2009年1月に発表された以下の最新論文では、



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Delta-alpha ratio correlates with level of recovery after neurorehabilitation in patients with acquired brain injury.
タイトル『脳損傷患者のリハビリ回復程度は、デルタ波/アルファ波の比と強い関連がある』
Leon-Carrion J, Martin-Rodriguez JF, Damas-Lopez J, Barroso y Martin JM, Dominguez-Morales MR.
Clin Neurophysiol. 2009 Jun;120(6):1039-45. Epub 2009 Apr 23. より引用



脳卒中や交通事故で脳に損傷を負った患者21名について、リハビリ開始前に脳波を記録して、

6ヵ月後の回復の程度と、記録した脳波との関連を統計学的に調べています。

その結果、

アルファ波に対するデルタ波の比率が大きかった患者ほど、リハビリの効果が低かったという結果が出ました。







縦軸はデルタ波/アルファ波です。  横軸はリハビリ後の回復程度です。
デルタ波/アルファ波の比が小さいほど、より100%に近い回復が期待できることが分かります。






上段が回復良好で、下段が回復不良の患者の脳波分布図です。

左列はデルタ波、中央はアルファ波の分布、右列のDARはデルタ波/アルファ波です。




デルタ波の存在が悪いというわけではなくて、

アルファ波に比べてデルタ波が一方的に大きいと、その後のリハビリ効果が期待できないということが分かります。



この論文を読んだときに、とても思い当たることがありました。


入院時、同室にはすでに私よりも若い患者仲間が2名いました。麻痺の程度も比較的軽いようで、

手の指は開くし、4点支持の杖での歩行練習もしていました。

頭もはっきりしていて、受け答えも明瞭だったのですが、1つ特徴的なことがありました。

それは、 とにかくその2名の方は暇さえあれば眠っていた、ということです。

リハビリの時間は1日に合計2時間程度です。

それ以外の時間をほとんどすべて、ただただひたすら眠っていたのです。

結局、私が杖なしで歩けるようになっても かれらは車椅子を離れることは出来ず、

退院時に挨拶に伺ったときにもやはりベッドで眠っていました。


アルファ波は、健常な人の覚醒時に大脳皮質から多く出る脳波です。

また、デルタ波は熟睡時に脳の深部から多く出る脳波です。


先の論文を読んだときに、あの同室の2人の患者仲間はきっとデルタ波が通常よりも

優勢になっていたのではないか…と思いました。


もちろん脳を損傷しているのですから十分に睡眠を摂って脳を休めることは必要だと思います。

私自身、以前より眠る時間がとても増えました。


ただでさえこのような傾向が強くなっているときに、デルタ波を優勢にするような

バイノウラルビートサウンドを聴いたらいったいどうなってしまうでしょう?


実は入院中、病床で自ら実験したのですが、眠り続けてしまう危険を感じてすぐに止めてしまいました。


ところが、

世に出回っているバイノウラルビートサウンドを含んだリラクゼーションCDは、

そのほとんどが、デルタ波を優勢にすることに重きをおいています。



なぜなら、デルタ波が優勢な状態にすることはとても簡単で、

しかも眠くなりますからすぐにリラックスした気になるのです。


左列のメニューに 『無料プレゼントかなり眠くなるmp3ファイル』 というリンクがあります。

これについてはデルタ波が非常に優勢になることがすでに検証済みです。

是非試してみてください。 とてもリラックスして、すぐに眠ってしまうことでしょう。


しかしこれは脳卒中リハビリにはまったく適さないと私は考えます。



デルタ波に相当するバイノウラルビート周波数が不安解消効果に有効であることは、

いくつもの研究で実証されていますが、それらはいずれも脳が健常な人を対象にした研究です。



脳卒中や鬱病の人がそれらを聴くと、かえって 気分がひどく落ち込む可能性を示唆する研究もあります。



これら研究成果や私の経験も踏まえ、デルタレゾナンスでは、

デルタ波相当の周波数を閾下レベルで強すぎないように刺激し、

十分な強度のアルファ波相当の周波数を多く含むよう、調整してあります。



安心して聴いていただけると思います。